三浦ブログ

やばいぞやばいぞ

四天宝寺ホラーナイト

 

ここ最近学校周辺の地域で怪奇事件が起きている

負傷者三十人、死亡者一人

夜間に一人で歩いていると、若い男の声が私を呼び止める

びっくりして振り返ると、病室にいた

それが三十人全員が答えた内容だった。

警察の調査も難航しているといえる。

市長は夜間の一人歩きはやめなさいと市民に呼びかけた

市長の震えが市民に振動していく。

それまで馬鹿馬鹿しいと思っていた住民までもが

怯えだした。それが人の仕業なのか、はたして

化け物の仕業なのかは定かではない。

ただ、根拠のない持論と、重い空気だけが空中を

彷徨っていた。

この町は救われるのか、この町はどうなるのか

忍足謙也少年は空気を断ち切るように自転車を

強く踏み込んだ。

全くもって、嫌になる

 

「吸血鬼?」

「な、臭いやろ」

「人間やってそんなん」

 

電話口で従兄妹の忍足侑士が軽く笑った。

放課後の教室は薄暗く外の星が綺麗に見えた

「で?なんで吸血鬼なん?」

「被害者は全員首に蚊に刺された跡があるらしい」

「…そりゃ、化けて出たかもしれんな」

「幽霊なんか、おらん」

「そらそうや、おらんに決まっとる」

「学校も、みんなも、市長も、市警もびびりきっとる」

「殺人鬼やとしてもおぞましいからな」

「やけど、受け身になってどうする?襲われんのを待つんか?」

「謙也、落ち着き。ただの狂った殺人犯や

 戸締りさえすれば大丈夫や」

謙也はふと視線をさげた。そこには元気に走り回る

金太郎達レギュラーメンバーがいた

夕日が沈んだこの場所でもレギュラーメンバー

だけは明るく見えるようだ

謙也は小さく笑った

 

忍足侑士は明るい口調で話しだした

「そういえばうちの親父がお前に会いたいって

 言っとったわ。今度会いに来ってぇや」

「…」

「謙也?」

「…、ツーツー」

「謙也?おい、謙也」

 

次の日、忍足謙也は学校に来なかった

家にも、帰っていなかった