三浦ブログ

やばいぞやばいぞ

四天宝寺ホラーナイト8

大学生活が始まって間もなくして

俺の妹が死んだ。原因は不明らしい。

犯人の痕跡さえ見つからないらしく、地元では

その異様なやり口から「吸血鬼事件」なんて一つの怪事件

として噂されているようだ。どんな細かな情報でも欲しかったが

一つの情報すらもはいって来なかった。早期の解決を

俺たち家族が一番願っていた。

妹が死んで間もなくして一日約5人単位で被害者が続出した。

今度は全員怪我の一つもなかったそうだ。

そのことに関して全員が気味悪いぐらいぴったりの感想を

述べた。「男に呼び止められ振り向くと病室のベットにいた」

そして全員首元に蚊に刺されたような跡をつけていた。

それが吸血鬼事件なんてもてはやされる事になる原因なのだが

そんなことはどうでもよかった。

何故、妹は殺されたのか。

 

この春、長期休暇を使って俺は大阪に帰ってきた。

吸血鬼などいるものか。

警察はなにを言っているのか。

俺は犯人に目星がついてる。

そしてその犯人の卑劣さを理解している。

俺は妹のようにはならない。この町は、俺が守るんだ。

 

 

 

「ユウくん」

屋上に一氏はいた。

白石との乱闘の後、めっきり部室に来ることがなくなった

一氏を心配し、一氏のあとを付けてきたのだった。

「…なんやねん」

「クラリンも謝りたい言うてる。ユウ君、意地はらんと…」

「うっさいねん!!!」

一氏は柵を思いっきり蹴った。有刺鉄線がびんびん、と

音を立てて揺れる。小春は困ったような顔をして、

「待ってるから、」とだけ言い残して去って行った。

小春が去った後、壁にもたれかかるようにして一氏は

ずるずると崩れ落ちた。

「どうせい、っていうねん」

 

 

 

 

小石川は夕方の道を急ぎ足で歩いていた。

最近は物騒なため少しの予断さえも許されない。

腕時計を確かめながら小石川は家までの帰り道を

走り始めた。

その時、

 

 

小石川は足を止めた。

 

 

 

 

「謙也?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、校庭に小石川の死体があった。