三浦ブログ

やばいぞやばいぞ

四天宝寺ホラーナイト5

 

「『〇〇△△市吸血鬼事件多発!!

 警察、証拠一つも掴めず。カルト信者「ヴァンパイアが世界を

 滅ぼしに来た!」』…だとよ」

向日岳人はストローを加えたまま飲み干したコーヒー牛乳を

たたみにかかった。

跡部は差し出されたゴジップ記事を手に取ると

眉を顰めた。

「通りで忍足が最近躍起になってる訳ね」

「俺も打ち合ったこともあるし内心凄いショック。

 財前も侑士の従兄弟も欠いて、四天宝寺大丈夫かよ」

 

謙也と最後に電話で話した忍足は「あの時こうすれば…」

とたらればを話して自分を責めるようなことは一切なかった。

それは開き直ってる訳でもなく、必然であることを悟っている

からである。謙也の両親にはタラレバの演技で涙ぐませて見せた

ものの、忍足の心はもっと遠くにあった。

吸血鬼なんているわけがない。

そんなもの非科学的で、あまりに格好よすぎて、

謙也には似合わないと、忍足は岳人に笑って見せた。

一方、オカルトマニアで知られる日吉も今回の事件に

興味を持ちネットなどで調べつくしたものの落胆したように

「吸血鬼じゃない」とこぼした。

もしかしたらそれは日吉達人間のかってな妄想で生み出した

基準にあたる吸血鬼にそぐわないだけの話で

本当の吸血鬼とはそんなものなのかもしれないし

そもそもそんなものの仕業ではなく凄く頭のいい殺人鬼の

仕業かもしれない。

向日がつまらさそうに唇をつんとした。

跡部が少し考え込むような素振りを見せたところで屋上の扉が

開いた。

「お前らこんなとこにいたのかよ」

「なんだ宍戸かよ」

宍戸は一通り知り合いたちに声をかけると跡部達のとこに

戻ってきた。

「あれ、若の姿がねーな」

「あれあれ、ひよC一緒じゃなかったのー?」

めずらしく起きていたジローが一個ちょうだい、と

宍戸のビニール袋を漁った。中にはやきそばパンからメロンパン

まで幅広いレパートリーで宍戸の制止の声も無視してジローは

いただきまーすと陽気に食べだした。

宍戸があきれたように「お前な…」と呟くのを

鳳がまぁまぁとあやした。

 

「跡部さん」

「日吉お前どこいってたんだよー!」

日吉は向日の声を無視すると「このことなんですけど…」

とA4サイズのコピー用紙を何枚か取り出した。

シカとかよ!と今にも掴みかかりそうな向日を

部員全員が窘めたところで跡部が「あーん?なんだこれは」

と用紙を目にした。

四天宝寺の吸血鬼って、これのことじゃないですかね」

日吉の言葉にみんなが興味をそそられた様で

みんな一様に跡部と日吉を囲んだ。

 

「これは…、どっかで聞いたことあるわけだ」

「だと思いました」

 

いまだに氷帝部員は全員頭にはてなマークを浮かべていた。